2008年3月8日号 現代のお寺さんのあり方を考える

2008年4月12日号

昨年の3月ごろ、
「今すぐではないんだけどお葬式の準備がしたい」
と1本の問い合わせ電話が鳴りました。

病を患い、病院に入院されたばかりの高齢の方で、
「頼むから来て欲しい」の声を受けて、
私は守口市内のとある病院に向かいました。

話を聞けば、
「主人が亡くなって子どももいないので家族葬でお願いしたい。
お寺さんも付き合いがないので紹介を頼みたい。
家の仏壇の処理とお骨の面倒も見てほしい」
といった内容でした。

「よろしく頼みます」とご本人に強く手を握られ、
本当に私でいいのだろうかと一瞬複雑な気持ちになりましたが、
「お引き受けいたします」と答え、
私の名刺をお渡しして病院を後にしました。

それから約1年の月日が流れた今年の3月に、
身内3人とホームヘルパーを入れた約10人による
家族葬で故人をお見送りしました。

故人のご要望どおりの家族葬は終始ほのぼのとした雰囲気で進行し、
小規模なお葬式ではあったものの私自身は大きな充実感に包まれました。

後からヘルパーの方に聞いた話なのですが、
故人は私の名刺を財布の中にずっと入れてらっしゃったそうです。

私たちはお得な会員制度や早期割引制度を設けていません。にも関わらず、

名刺を大切にしていただいていたことに私は深く感謝しました。

「私はまだ生きるから。でも準備はしておかなくちゃ」

葬儀の事前相談がタブーでなくなってきたことに私はうれしく思います。

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