ご葬儀が終わり、初七日を過ぎて少し落ち着かれた頃に、ぽつりとご相談をいただくことがあります。「故人のSNS、どうしたらいいでしょうか」というご質問です。大阪市旭区で長く葬儀のお手伝いをしておりますが、このご相談はこの十年ほどで確実に増えました。
預貯金や不動産と違って、SNSアカウントには決まった手続きの型がありません。期限が決められているわけでもなく、誰かが督促してくるわけでもない。だからこそ、ご家族が迷われたまま何年も過ぎてしまうことがあります。この記事では「死亡の連絡をどう出すか」「追悼アカウントとして残すか」「削除するか」という三つの分かれ道について、判断していただくための材料を整理します。
目次
放置されたアカウントが、ご家族の負担になることがあります
すぐに手を付けなくても罰則があるわけではありません。ただ、そのままにしておくと、ご家族が思わぬところで心を揺さぶられることがあります。実際に伺ったお声を挙げてみます。
- 誕生日の通知が毎年届く——「お誕生日おめでとう」の投稿が友人から並び、そのたびにご家族が説明に追われる。
- なりすまし・乗っ取りに使われる——長く動きのないアカウントが第三者に利用され、友人へ不審なメッセージが送られてしまう。
- 有料サービスの課金が続く——音楽や動画の定額サービス、ゲームの課金、クラウド保存の料金が引き落とされ続ける。
- 写真や動画が取り出せなくなる——削除してから「孫との写真があそこにしかなかった」と気づかれる。これがいちばん多い後悔です。
- ご家族の意見が割れる——「残したい」と「早く消したい」でご兄弟の気持ちがぶつかってしまう。
つまり、放置のリスクと、急ぎすぎたときの後悔と、その両方があるということです。だから順番が大切になります。
最初に決めるのは「連絡」「追悼」「削除」の三つ
ひとまとめに考えると難しくなりますので、私はご家族に、三つに分けて考えていただくようお伝えしています。
一つめ:訃報をSNSで出すか、出さないか
ご本人のアカウントから訃報を投稿するか、ご家族ご自身のアカウントから知らせるか、あるいはSNSでは触れずに個別の連絡だけにするか。ここに正解はありません。
判断のめやすとしては、故人がSNSでどれだけ人とつながっていたかを見ていただくとよいと思います。仕事関係やご趣味の仲間とSNSだけでつながっておられた場合、投稿しなければ「なぜ知らせてくれなかったのか」という思いを残してしまうことがあります。逆に、家族や近しい方だけのつながりであれば、無理に公開する必要はありません。
もし投稿される場合は、葬儀の日時・場所を書くかどうかを先に決めてください。家族葬でお見送りされるのに会場名まで書いてしまい、当日思いがけない人数のご弔問があった、というのは実際に起きています。「葬儀は家族のみで済ませました」「後日お参りいただけます」と添えるだけで、ずいぶん違います。
二つめ:追悼アカウントとして残す
サービスによっては、亡くなった方のアカウントを追悼のための状態に切り替える仕組みが用意されています。新しくログインされることを防ぎながら、これまでの投稿や写真は残る、という考え方のものです。
「消してしまうのは忍びない」「命日にみんなで見に行く場所にしたい」というお気持ちがあるなら、この選択は十分に検討する価値があります。ご葬儀のあとに残るものが少ない時代ですので、ここが心のよりどころになるご家族を、私は何度も見てきました。
ただし、申請できる方の範囲や必要な書類はサービスごとに違い、内容も変わっていきます。必ず各サービスの公式ヘルプで最新の案内をご確認ください。
三つめ:削除(アカウントの閉鎖)
不特定多数とつながっていた、悪用が心配、見るたびにご家族がつらくなる——こうした場合は削除という選択になります。
ここで一つだけお願いがあります。削除は、いちばん最後にしてください。消したものは戻りません。写真・動画・メッセージのやり取りなど、残したいものを先に取り出してから進めていただきたいのです。多くのサービスにはデータをまとめてダウンロードする機能がありますが、こちらも手順が変わることがありますので、公式の案内をご確認いただくのが確実です。
迷ったときの、五つの判断基準
ご家族で話し合われるときに、この五つを順に確認していただくと、ずいぶん整理がつきます。
- お金が動いているか。課金や定額サービスが紐づいているなら、そこは急ぎます。判断を待つ理由がありません。
- 他人に迷惑がかかるか。乗っ取られて友人に被害が及ぶ可能性があるなら、残す判断は慎重に。
- 取り出したいデータがあるか。一つでも「あるかもしれない」なら、確認が終わるまで削除しない。
- 遺されたご家族の気持ちはどうか。見ることが支えになる方と、つらくなる方がいます。多数決で決めないでください。
- 相続の話に関わるか。ネット銀行、証券、暗号資産、フリマアプリの売上などが絡む場合は、SNSと切り離して考える必要があります。判断に迷われるときは、税理士や弁護士など専門家にご確認ください。
特に五つめは大切です。目に見えない資産や負債は、ご家族が把握しきれていないことが多いものです。マイナスの財産が関わる可能性については故人に借金があった場合の相続の考え方で整理していますので、心当たりがあれば早めにお読みいただければと思います。
手続きの順番——急ぐもの、急がなくてよいもの
先に手を付けたほうがよいもの
スマートフォン本体の扱いと、料金が発生し続けるものです。端末が使えなくなると、本人確認の通知が受け取れず、あとの手続きがぐっと難しくなることがあります。解約の前に、中身の確認とデータの保存を済ませる——この順番だけは崩さないでください。
具体的な進め方は死亡後のスマートフォン・SNSの解約手続きにまとめています。定額サービスの止め方も含めて書いていますので、あわせてご覧ください。
急がなくてよいもの
追悼として残すか削除するかの最終判断です。ここは期限のあるものではありません。四十九日を過ぎ、一周忌を迎えてから決められたご家族もいらっしゃいます。気持ちが決まらないうちに消してしまうより、決まるまで待つほうがずっといい。私はそう思っています。
年金や保険、名義変更など期限のある手続きと混ぜてしまうと、優先順位を見失います。全体の流れは葬儀後に必要な手続きの一覧で確認していただき、SNSは「あとで落ち着いて決める欄」に置いておく。それで十分です。
お部屋の片づけと、同じ日に考えないこと
遺品整理の日に、ご家族がスマートフォンやパソコンを前にして手が止まってしまう場面をよく見ます。物の片づけには期限があることが多く(賃貸のお部屋であればなおさらです)、その勢いのままデジタルのものまで判断されると、あとから「あれを見ておけばよかった」となりがちです。
端末とアカウントは、いったん脇に置く。それだけ決めておかれると安心です。お部屋の片づけそのものの進め方は遺品整理の進め方とご依頼のタイミングにまとめています。
大阪市旭区でいただいたご相談から
大宮にお住まいだったお父様を見送られたご家族から、こんなお話を伺いました。生前、地域の写真サークルの仲間とSNSでつながっておられ、亡くなったあともお仲間から「最近投稿がないですね」とコメントが続いていた。ご家族は返す言葉が見つからず、半年ほどそのままにされていたそうです。
結局、息子さんがご自身のアカウントから短くご報告を出され、お仲間から届いた思い出のコメントを読んで「父にこんな時間があったとは知らなかった」とおっしゃいました。アカウントは今も残しておられます。
一方で、高殿のご家庭では、SNSの通知が届くたびにお母様が涙されるため、ご兄弟で話し合って削除を選ばれました。写真だけはご長女がまとめて保存され、新森のご自宅で法要のときに見返しておられるそうです。
どちらも正解です。ご家族の数だけ答えがある、というのがこの十年で私が感じてきたことです。旭区でのご葬儀については大阪市旭区の葬儀・家族葬のご案内もご覧ください。
いま元気なうちに、できること
そして、これをお読みの方ご自身のことです。ご家族が困らないためにできることは、実はそれほど大変ではありません。
- 使っているサービスの名前だけ、紙に書き出しておく。パスワードまで書く必要はありません。「何を使っているか」が分かるだけで、ご家族の手間は大きく減ります。
- お金が動くものに印をつけておく。定額サービス、課金、ネット上の口座。ここが分かれば、ご家族は迷いません。
- 亡くなったあとどうしてほしいか、一行でいいので残す。「消していい」「写真だけ残して」——それだけで、ご家族が背負う迷いが消えます。
- サービスによっては、あらかじめ管理を任せる方を指定できる仕組みがあります。内容は変わることがありますので、詳しくは各サービスの公式ヘルプをご確認ください。
エンディングノートに預金や保険を書かれる方は増えましたが、デジタルの欄はまだ空白のままのことが多いように思います。ここを一行埋めておくだけで、あとに遺る方がずいぶん楽になります。
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ご相談はお気軽に
「うちの場合はどうするのがいいのか」——そう思われたら、一人で抱え込まずにお声がけください。株式会社大阪セレモニーでは、大阪市旭区(大宮・高殿・新森ほか)を中心に、ご葬儀そのものだけでなく、そのあとに残る手続きのご相談もお受けしています。デジタル遺品についても、どこから手を付ければよいかの交通整理はお手伝いできます。
なお、相続や税金など法律・税務の判断が必要な部分については、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認いただくようご案内しております。必要に応じてお繋ぎすることも可能です。
ご葬儀のご依頼、事前のご相談、葬儀後の手続きについてのご質問は、当社ホームページのお問い合わせフォームまたはお電話にて承ります。お見積りやご相談だけでも構いません。ご家族が迷われている時間そのものを、少しでも短くできればと思っております。