葬儀が終わって少し落ち着いたころ、ご家族から「実家の車、どうしたらいいでしょうか」とご相談をいただくことがあります。大阪市旭区の千林や森小路、高殿のあたりでは、実家の敷地内には停められず、近くの月極駐車場を借りていたという方も少なくありません。
車は、預金や不動産と同じように相続の対象になるものです。そのため、相続人がどなたなのかが決まり、話し合いがまとまるまでは、売る・名義を変える・廃車にするといった手続きにすぐ進めないことがあります。相続放棄を考えているご家族の場合は、なおさら慎重に進める必要があります。
ところが、その「動かせない期間」にも、駐車場代・自動車税・車検・任意保険といった費用や期限は止まってくれません。しかも故人名義の口座は金融機関に連絡した時点で入出金が停止されるのが一般的ですから、これまで自動で引き落とされていたものが引き落とせなくなり、あとから滞納の通知が届いて初めて気づく、ということもあります。ただ、これらは順番さえ押さえておけば、慌てずに対応しやすくなります。
私ども葬儀社は、税金や保険の可否を判断する立場ではありません。ただ、これまで多くのご家族をお見送りしてきた中で、「どの順番で確認しておくと慌てずに済むか」はある程度見えてきました。この記事では、車をすぐに処分できない間に確認しておきたいことを、順番に沿って整理します。
目次
結論:名義変更より先に、毎月出ていくお金と期限を確認する
結論から申し上げると、まず手をつけるべきは名義変更ではありません。遺言がない場合、名義変更や売却は、相続人の確定と遺産分割の話し合いが前提になることが多いため、どうしても時間がかかります。その一方で、放っておくと自動的にお金が出ていくもの、期限が先に来てしまうものがあります。ですから、確認の順番は「出ていくお金と、期限が近いもの」からです。
具体的には、次の順で確認しておくと整理しやすくなります。
- 駐車場の契約……毎月確実に発生し、支払いが止まると管理会社とのやり取りが必要になります。
- 自動車税(種別割)……納税通知書が届く時期と宛名を確認します。
- 車検の満了日……期限を過ぎると公道を走れなくなり、売却や移動の段取りにも影響します。
- 任意保険・自賠責保険……契約者が亡くなった後の扱いは契約内容によって異なるため、保険会社への連絡が必要です。
この4つは、いずれも「ご家族だけで結論を出すもの」ではなく、駐車場の管理会社、自動車税の担当窓口、整備工場や販売店、保険会社と、相談先がそれぞれ決まっています。ご家族にしていただきたいのは、ご自身で判断することではなく、必要な情報と書類を集めて、それぞれの窓口へ早めに連絡することだとお考えください。車関係の通知は郵便で届くものが多いので、故人宛の郵便物の取り扱いとあわせて確認しておくと見落としが減ります。手続き全体の流れを先に把握しておきたい方は、葬儀後の手続きもご覧ください。
最優先は駐車場の契約|名義・支払方法・解約予告を確認する
最初に確認していただきたいのが、月極駐車場の契約です。理由は単純で、ほかの項目と違って毎月必ず費用が発生し、支払いが滞ると先方から督促の連絡が来てしまうからです。住宅が密集している地域では、ご自宅から少し離れた月極を借りているご家庭も多く、ご家族がその場所すら把握していないこともあります。
確認するのは、次の4点です。
- 契約者の名義……故人名義か、ご家族名義か。故人名義であれば、契約を引き継ぐのか解約するのかの判断が必要になります。
- 貸主・管理会社の連絡先……契約書のほか、通帳の引き落とし履歴や領収書から探せることがあります。
- 支払方法……故人名義の口座からの自動引き落としであれば、金融機関へ連絡したあとは引き落としができなくなります。当面どう支払うかを先に決めておく必要があります。
- 解約の予告期間と返却物……「解約は1か月前までに申し出」といった取り決めが多く、車室のカードキーや看板の返却、原状回復を求められる場合もあります。
ここで気をつけたいのが、解約を急ぎすぎないことです。契約を先に解約してしまうと、車の行き先が決まる前に置き場所がなくなってしまいます。売却先や引き取りの段取りが立ってから解約日を逆算するほうが、結果として無駄な出費は少なくて済みます。
また、相続放棄を検討されている場合は、駐車場代をどなたのお金で支払うか、契約をどう扱うかによって、その後の判断に影響する場合があります。この点は葬儀社が申し上げられる範囲を超えますので、自己判断で進めず、弁護士や司法書士といった専門家に早めにご相談ください。管理会社へ連絡される際も、「相続の手続き中で、今後の扱いを確認している」とだけお伝えし、支払いの猶予や必要書類を確認しておくのが安全です。
なお、電気・ガス・水道のように「止める時期をご家族側で決められるもの」とは違い、駐車場は契約相手のある話です。止める順番の考え方については、亡くなった後のライフライン停止のタイミングもご参考になさってください。
自動車税の通知書が届いたら、登録名義と年度を確認する
実家の車でまず動きが出るのが、毎年春に届く自動車税の納税通知書です。亡くなった方の名義のままになっていれば、通知書も故人宛に届きます。郵便物が実家に溜まったままだと気づくのが遅れ、納期限を過ぎてから慌てる、というのがよくある流れです。
確認していただきたいのは3点です。ひとつめは、車検証に記載された所有者と使用者が誰になっているか。ふたつめは、通知書が何年度分のものか。みっつめは、納期限がいつか。この3点が分かれば、次に誰がどこへ相談すればよいかが見えてきます。
自動車税は、毎年4月1日の時点で登録されている方(所有権留保の場合は使用者)に対して課される仕組みです。そのため、年度の途中でお亡くなりになった場合でも、その年度分の取り扱いについては個別の判断になります。名義を変更するのか、車を手放して登録を抹消するのか、その時期によっても結果が変わってきますので、実際の税額や還付の有無をこちらで断定することはできません。
問い合わせ先は車の種類で分かれます。普通車は大阪府の自動車税に関する窓口、軽自動車は市区町村の窓口が担当です。大阪市旭区にお住まいの場合も、軽自動車であればお住まいの市区町村が窓口です。通知書に記載された連絡先へ、車検証を手元に置いた状態でお電話いただくのが一番確実です。
なお、納期限が近いのに手続きの見通しが立たない、という状態が一番避けたいところです。相続の話し合いがまとまっていなくても、事情を伝えて相談しておくことで取り得る選択肢を教えてもらえます。連絡しておくだけで、状況は動きます。
車検証を探して、有効期限と所有者欄を確認する
次に見ていただきたいのが車検証です。グローブボックスの中か、自宅の書類棚に保管されていることがあります。従来の車検証には有効期間の満了日が記載されています。ただし、電子車検証の場合は満了日が券面ではなくICチップ側に記録されていることがありますので、貼付されたシールや専用アプリでご確認ください。
車検と自賠責が切れている車は公道を走れません。車検が切れていても書類上の名義変更ができる場合はありますが、ナンバーの付け替えが必要な場合や、買い取り店まで運ぶ場合には、積載車での運搬や仮ナンバーの取得といった段取りが別途必要になります。逆に、満了日まで余裕があるうちに予定を確認できれば、選べる方法が増えます。まず日付を見る、というだけで判断が早くなります。
車検証でもうひとつ見ておきたいのが、所有者の欄です。ここが販売店や信販会社の名前になっていることがあります。いわゆる所有権留保の状態で、ローンが残っている可能性を示しています。この場合、名義変更や売却の前に、そちらへの連絡が先になります。ご家族が把握していない支払いが残っているケースもありますので、通帳やカードの明細と合わせて確認しておくと安心です。引き落としの整理については、クレジットカードの解約手続きの記事もあわせてご覧ください。
車を動かす前に、保険会社へ一本連絡を入れる
保険まわりの具体的な手続きは、自動車保険の死亡後手続きで詳しくまとめています。この記事では、車を動かす前に確認したい最低限の順番だけを整理します。
任意保険は、契約者がお亡くなりになった後の補償がどう扱われるかが、保険会社や契約内容によって異なります。補償の範囲を確認しないまま運転してしまうと、万一の事故の際にご家族が大きな負担を負うことになりかねません。
保険会社や代理店へ電話するときは、契約者が亡くなったこと、当面どなたが運転する可能性があるか、車をどうする予定か(乗り続ける・売却する・廃車にする・まだ決めていない)の3点を伝えてください。必要書類や当面の扱いは契約ごとに異なりますので、その場で確認するのが確実です。
相続の話し合いが長引く時は、立て替えと連絡の記録を残す
車の扱いが決まらないまま、月極駐車場の使用料や自動車保険の保険料だけが引き落とされ続ける。これは葬儀後のご相談の中で、実際によくうかがう話です。話し合いが長引くこと自体は珍しいことではありません。兄弟姉妹がそれぞれ離れて暮らしていれば、集まれるのは月に一度という場合もあります。
問題は、その間の支払いを誰か一人が黙って立て替えてしまうことです。「とりあえず自分が払っておく」という善意の行動が、半年後に「あの時いくら払ったか分からない」「自分ばかり負担した」という気持ちのすれ違いにつながることがあります。
おすすめしているのは、立て替えが発生した時点で簡単な記録を残しておくことです。支払った日付、金額、支払先、支払った人の名前。この4つだけで構いません。ノートでもスマートフォンのメモでも、家族のグループトークに残しておくだけでも違います。振込の明細や領収書は、まとめて一つの封筒に入れておくと後で探す手間が減ります。
あわせて、連絡の記録も残しておくと安心です。駐車場の管理会社にいつ電話をして誰が対応してくれたのか、保険会社にどこまで伝えてあるのか。担当者の名前まで控えておくと、次に別の家族が問い合わせる時に一から説明し直さずに済みます。
なお、故人名義の車を動かしたり処分したりすることが、相続の手続き上どう扱われるかは、ご家族の状況によって判断が変わります。特に相続放棄を検討されている場合は、自己判断で車を動かす前に確認が必要なケースがあります。私どもは葬儀社であり、法律上の判断をお伝えする立場にはありません。気になる点がある場合は、早い段階で弁護士や司法書士といった専門家にご確認ください。判断の目安として、借金がある場合の相続についてまとめたページもあわせてご覧いただければと思います。
もう一つ忘れがちなのが、郵便物です。自動車税の納税通知書や車検の案内、保険の更新通知は、そのまま故人宛に実家へ届き続けます。実家が空き家になっている場合、通知に気づかないまま期限だけが過ぎてしまうことがあります。車のことと一緒に確認しておくと、手続き漏れが少なくなります。
大阪市旭区で、葬儀後の車と固定費に迷ったときは
旭区の森小路や高殿のあたりは、住宅街の中に月極駐車場が点在している地域です。ご自宅の敷地に停めておられた方もいれば、少し離れた駐車場を借りておられた方もいます。お子様が他府県で暮らしていて、葬儀の後にすぐ戻らなければならない、というご家庭も少なくありません。限られた滞在時間の中で車まで手が回らないのは、当然のことだと思います。
私どもが葬儀の打ち合わせやお見送りの後に、ご家族から「車はどうしたらいいんでしょうか」とお尋ねいただくことがあります。その場で法律上の答えをお出しすることはできませんが、今どこに何を確認すればよいのか、どの順番で手をつければ落ち着くのか、という整理のお手伝いはできます。どこに相談すればいいのかも分からない、という段階でお声がけいただいて構いません。
大切な方を見送ったばかりの時期に、駐車場代や税金の話をしなければならないのは、正直しんどいことだと思います。それでも、止められるものを止め、確認すべきことを一つずつ確認していけば、家族の間に余計な負担が残りにくくなります。急いで結論を出す必要はありません。まずは今かかっている費用を書き出すところから、始めていただければと思います。
車以外の手続きとまとめて見通しを立てたい方は、葬儀後の手続きのページもご覧ください。ご質問やご相談はお問い合わせページから承っております。