葬儀の場面では、多くの人々が心を込めて故人を偲びます。
その中で、香典の準備や渡し方について、正しいマナーや作法を知ることは、遺族に対する敬意を示す観点からも重要です。
しかし、香典の相場金額や適切な渡し方について、不安や疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
本記事では、葬儀における香典の基本的なマナーや相場、そして香典を渡す際のポイントをわかりやすく解説します。
これを読めば、葬儀の場での不安を軽減し、故人への敬意を正しく表すことができるようになるでしょう。
さらに、香典袋の選び方や表書きの書き方についても具体的な例を挙げながら触れていきますので、ぜひ最後まで読み進めて下さい。
目次
香典とは何か?その意味と重要性について
香典とは、故人の冥福を祈り、ご遺族を支援するために渡される金銭のこと。
日本の伝統文化に根付いた習慣であり、葬儀に参列する際の重要なマナーの一つです。
香典には二つの主要な意味があります。
・故人に対する哀悼の意を示すこと
・遺族に対する経済的支援
葬儀に参列する人々は香典を通じて、故人を偲ぶとともに、その死を悼む気持ちを表します。
葬儀には多額の費用がかかるため、参列者が香典を贈ることで遺族の経済的負担を軽減する助けとなるんですね。
香典を渡すことで、参列者は故人との最後の別れを敬意をもって行い、ご遺族への心遣いを示すことができます。
そのため、香典を適切に用意し正しい方法で渡すことは、葬儀の場での重要な作法となるんですね。
香典の由来は古く、平安時代から続くとされています。
当時、故人の冥福を祈るために香を焚く習慣がありましたが、やがてお香の代わりに金銭を渡すようになりました。
この習慣は、現在と同じように、故人の魂を慰めると同時に、葬儀費用の一部を賄うためでもあったようです。
さて、香典の金額や渡し方には地域や宗教による違いがあり、それぞれの習慣に従うことが求められます。
よって、参列者はそれらを確認する必要がありますが、金額を遺族や喪主に確認するのは少々失礼に値する場合があるので、とりあえずはその地域の平均額に納めるとよいでしょう。
いずれにせよ、心を込めて渡すことが最も重要となります。
香典の相場金額はどれくらいが適切?
香典の金額は、都市部と地方で相場に違いが見られますが、基本的には故人や遺族との関係、地域の慣習、自身の経済状況に応じて適切な金額を包むことが重要です。
香典金額を選ぶ際のポイントは、故人とどれだけ近しい関係にあるか?になります。
また参列者の年齢が若い場合も、香典の金額は低くなる傾向にあるでしょう。
まずは、都市部における香典金額の平均相場から見てみましょう。
都市部における香典の相場金額とは?
都市部では生活費や物価が高いため、香典の金額も比較的高めに設定されることが一般的です。
以下に都市部における香典の相場を紹介します。
友人・知人
一般的な相場は5,000円〜10,000円です。
親しい友人の場合、10,000円が多いでしょう。
会社の同僚・上司
同僚や上司の場合、10,000円から30,000円が一般的です。
特に親しい関係や、上司の葬儀の場合は、20,000円〜30,000円を包むことが多いでしょう。
親族
親族の場合、関係の深さによって金額が大きく異なります。
一般的には30,000円〜50,000円が相場ですが、特に親しい親族(例えば兄弟姉妹や甥・姪)の場合は、50,000円以上包むこともあります。
その他の関係
隣人や知人の知人など、関係が薄い場合は3,000円から5,000円が一般的です。
地方における香典の相場金額とは?
地方では、都市部に比べて生活費や物価が低いため、香典の相場も低めに設定されることが多いです。
以下に地方における香典の相場を示します。
友人・知人
一般的な相場は3,000円〜5,000円です。
親しい友人の場合でも、10,000円を超えることは稀でしょう。
会社の同僚・上司
同僚や上司の場合、5,000円〜10,000円が一般的です。
特に親しい関係の場合でも、10,000円〜20,000円程度です。
親族
親族の場合、10,000円〜30,000円が相場です。
関係の深い親族の場合は、20,000円〜30,000円を包むことが多いです。
その他の関係
隣人や知人の知人など、関係が薄い場合は2,000円〜3,000円が一般的です。
これだけは禁止!香典の金額におけるマナーについて解説!
香典の金額は、奇数の金額を包むのが一般的とされています。(例:5,000円、10,000円)
これは、偶数の金額が”割り切れる”、つまり故人との縁が切れてしまうと暗示されることから、縁起が悪くとられるためです。
ただし、地域によってはこのルールが異なることもあります。
例えば、一部の地方では、香典を包む際に奇数の金額を避ける風習があり、5,000円や10,000円ではなく4,000円や8,000円を包むこともあるのです。
また、都市部では現金のほかに物品を香典として贈ることもありますが、地方ではそのような習慣がない場合もありますよ。
いずれにせよ、故人の家柄や風習によって異なりますので、事前の確認が望ましいでしょう。
連名で香典を出す場合の作法とは?
連名で香典を出す場合でも、基本的には奇数になるように設定し、それを人数で割るとよいでしょう。
例えば30,000円を5人で割るならば、一人6,000円包む……といった形です。
ただし、5人で6,000円ずつ包むからといって、5,000円札5枚、1,000円札5枚のように何枚もお札を含めるのはやめましょう。
居酒屋での割り勘ではありませんから、そこは10,000万円札を3枚用意すべきですね。
香典の渡し方とタイミングについて網羅的に解説!
香典を渡す際には、いくつかの手順と注意点があり、これらを守ることで故人への敬意を示すことができます。
まず、香典を包む際には、専用の香典袋を用意しましょう。
これらは文房具店やコンビニ、ネット通販でも入手可能です。
(画像)
香典袋は、不祝儀袋(ふしゅうぎぶくろ)とも呼ばれ、宗教や宗派、包む金額によって適切なものを選ばなければいけません。
この辺りも、金額と同様、故人のご遺族様に確認が必要となります。
香典袋の書き方と注意点とは?
香典袋には、”表書き”と”中袋”があり、それぞれに正しい記入方法があります。
表書きには、「御霊前」や「御香典」などの表現を用いますが、これも宗教や宗派によって異なるため、事前に確認が必要です。
・仏教:「御霊前」「御香典」
・神道:「御玉串料」
・キリスト:「御花料」
中袋には、香典の金額と、自分の名前・住所を記入します。
金額は、漢数字で記入するのが一般的で、例えば10,000円なら「壱萬円」と記入してください。
また、中袋の裏面には、自分の住所と名前を記入します。
これは、遺族が誰からの香典かを確認しやすくするためです。
これらの記入は、できるだけ丁寧な字で書くことが大切。
香典袋全体が清潔であることも重要なポイントです。
汚れた袋や破れた袋を使用することは絶対に避けてください。
また、香典袋を購入する際には、袋の種類やデザインにも注意が必要です。
地域や宗教によって適切なデザインが異なるため、事前に確認しておくことが望ましいです。
香典袋の書き方を”画像”で解説しています。
下記ブログもあわせてどうぞ。
→別記事参照
これさえ読めばOK!香典の渡し方について
葬儀の当日、香典は受付で渡すのが一般的です。
この際、受付の係員に一言添えて手渡すと、丁寧な印象を与えます。
例えば、
「ご愁傷様です。心ばかりですが、お納めください。」
といった言葉が良いでしょう。
受付が設けられていない場合や、親しい間柄の場合には、遺族に直接手渡すこともあります。
直接の場合でも、葬儀会場や通夜の会場で渡すのが通例です。
ただし、遺族の意向や会場の設営状況によっては、別の場所(例:葬儀の後の会食の場)で渡すことも考慮する必要があります。
この場合も相手の立場を尊重し、適切なタイミングで渡すことが重要です。
もし直接遺族に香典を渡す場合は、あまり長話をせず、シンプルに気持ちを伝えるのがベスト。
無言で渡すのではなく、適切な言葉を添えることで、相手への敬意を示します。
香典袋を両手で持ち、軽くお辞儀をしながら渡すことがマナーです。
香典を渡す際には、事前に葬儀の流れを確認しておくと安心です。
受付の場所や時間、渡すべきタイミングなどを把握しておくことで、スムーズに香典を渡すことができます。
また、香典を渡す際には、他の参列者の動きを参考にすることも有効です。
多くの人が受付に並んでいる場合は、その流れに従うと良いでしょう。
葬儀での香典マナー:知っておきたい基本ルールとNG行動
この章では、葬儀における香典のマナーについて網羅的にまとめておきます。
葬儀の場は、遺族や参列者が故人に対する敬意を示したり、お見送りをする場です。
マナー違反を繰り返すと、ご遺族との後々の関係にヒビが入る可能性もありますし、何より大人としての配慮に欠けます。
下記マナーをしっかり守って、一体感をもって故人を送り出してあげましょう。
・香典袋は香典袋は清潔な状態で用意し、破損や汚れがないように注意する
・香典袋を乱暴に扱ったり、雑に渡すことは避ける
・基本的には、香典袋の中に現金以外のものを入れることは避ける
・大人数で一度に香典を渡す場合は、一人一人が順番に丁寧に渡すよう心がける
・遺族が忙しそうな場合は、香典を渡すタイミングを見計らう
・新札で香典を容易しない
・汚いお札を包まない
・少ない枚数で香典を包む
・香典の金額や香典袋の形式については事前に要確認
・香典を渡す際は、長くなり過ぎず、一言二言で哀悼の意を表す
・香典を直接遺族に渡す場合は、忙しくないタイミングで手渡す
以上が、香典におけるマナーです。
基本さえしっかり守れば、故人の遺族からも感謝されます。
もし葬儀に参列するのが初めての場合は、他の経験者に聞くとより一層イメージできますよ。
香典返しの基本とは?受け取った時の対応とお返しのマナー
香典返しとは、香典を受け取った際にお礼として返礼品を送ること。
一般的には、葬儀後に四十九日が過ぎた頃にお返しをするのが通例です。
香典返しの品物には、お茶やタオル、食品など日常的に使えるものが良く、受け取った人に負担をかけないものが好まれます。
香典返しを送る際は、まずしっかりと感謝の気持ちを表現しましょう。
例えば、直接手渡しで渡す場合には、
「この度はお心遣いをいただき、ありがとうございました。」
といった言葉を添えます。
また、遠方の方に香典返しを送る場合には、丁寧な手紙を添えることで、感謝の気持ちを伝えることができますよ。
香典返しを送る際には、以下の点に注意して下さい。
・高価すぎないものを送る
・品物が遅れる際は、事前にその旨を伝える
品物を選ぶ際には、受け取る相手のことを考慮することが重要です。
高価すぎる品物はかえって相手に負担を感じさせてしまい、尾を引く可能性があります。
また、香典返しの品物には、葬儀の際に渡された香典の一部を使うことが一般的です。
これは、故人への供養の一環としての意味合いも含まれています。
万が一香典返しの品物が遅れる場合は、事前にその旨を伝えることで、相手の理解を得ることができるでしょう。
香典返しにオススメな品物と送る際のマナーはこちらの記事でどうぞ!
→別記事URL
葬儀における香典の相場金額やマナーについてのまとめ
葬儀における香典は、故人への最後の礼儀として非常に重要な役割を果たします。
香典の相場や渡し方のマナーを理解し行動することで、同時に遺族への敬意も表現できるでしょう。
香典の金額は、故人との距離感によって決められることが多いですが、お世話になったからといって相場の何倍も包む必要はありません。
大切なのは故人への感謝の気持ちと遺族への配慮。
葬儀でのマナーを守ることの方が重要です。
葬儀の場での不安を軽減し、心を込めたお別れをするために、正しい香典のマナーを身につけてください。