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秘密証書遺言とは?作成方法から保管・開封まで完全ガイド

秘密証書遺言は、その内容を他人に知られることなく法的効力を持たせることができる遺言方式です。

2020年の法改正により、保管方法が大きく変わり、より安全で確実な制度となりました。

一方で、自筆証書遺言と同じく、作成方法や手続きを誤ると無効となるリスクも有しています。

本記事では、秘密証書遺言に関する基礎知識から具体的な手続き方法まで、実践的な情報をお伝えします。

これから遺言書の作成をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

秘密証書遺言の基本と特徴

遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言といくつかの種類がありますが、今回は”秘密証書遺言”について詳しく解説します。

秘密証書遺言とは、遺言者が作成した遺言書を封筒に入れ、公証役場で公証人の確認を受ける方式の遺言のことです。

この遺言方式の最大の特徴は、遺言の内容を他人に知られることなく法的な効力を持たせることができる点にあります。

公正証書遺言とは異なり、遺言の内容を公証人に開示する必要がないため、プライバシーを守ることができるのです。

 

2020年7月10日の法改正により、それまでの自己保管から法務局保管に変更されています。

この変更により、遺言書の紛失や改ざんのリスクが大幅に減少しました。

秘密証書遺言は、遺言者本人が全文を自署(手書き)する必要があるという特徴を持ちます。

パソコンでの作成や代筆は認められていないため、自筆証書遺言と同様の手間がかかります。

ただし、財産目録に限っては、パソコンでの作成が認められています。

秘密証書遺言のメリット・デメリット

秘密証書遺言の最大のメリットは、遺言内容の秘密性が保たれることです。

相続人や親族に遺言の内容を知られたくない場合、この方式が有効な選択肢となります。

また、法務局での保管が義務付けられているため、遺言書の紛失や破棄のリスクがありません。

遺言者の死後、確実に相続人に遺言内容が伝わることが保証されているのです。

 

加えて、公証人による形式審査が行われるため、自筆証書遺言と比べて、形式不備による無効のリスクが大幅に減少するでしょう。

一方で、デメリットとしては、作成に時間と手間がかかることが挙げられます。

全文自筆の原則があるため、長文の遺言を作成する場合には労力を要します。

また、公証役場への出向きが必要なため、身体が不自由な方には負担となる可能性があります。

費用面でも、公証人手数料や法務局保管手数料が発生するため、自筆証書遺言より経済的負担が大きくなります。

 

さらに、一度作成した遺言内容を変更する場合にも、再度同じ手続きが必要となるため、緊急時の対応が難しいという点もデメリットでしょう。

しかし、これらのデメリットは、遺言の確実性や安全性を確保するためとも考えられるため、むしろ適切な投資と捉えられます。

秘密証書遺言の作成手順と必要書類

秘密証書遺言の作成は、まず下書きから始めることをお勧めします。

下書きの段階で、法律の専門家に内容の確認を依頼すれば間違いありません。

遺言書本体は、A4やB5などの一般的な用紙を使用して作成します。

文字は黒または青のボールペンを使用し、訂正がしやすい筆記具は避けるべきです。

遺言書の冒頭には、「これは私の遺言書である」という趣旨の文言を必ず記載しなければなりません。

続いて、遺言者の氏名、住所、作成年月日を明記します。

相続財産の内容は、自筆証書遺言と同じくできるだけ具体的に記載します。

 

遺言書が完成したら、破れにくい封筒に入れて封をします。

この時点で、封筒の表面に何も記載してはいけません。

公証役場では、本人確認書類として運転免許証やパスポートが必要となりますし、印鑑と印鑑登録証明書も用意しなくてはなりません。

これらの書類がそろったら、最寄りの公証役場に予約を入れましょう。

秘密証書遺言の保管方法と注意点

2020年の法改正により、秘密証書遺言は法務局での保管が義務付けられました。

保管手続きは、公証人による確認・封印が終わった後、速やかに行う必要があります。

法務局に持参する際は、公証人が作成した証書も併せて提出しなければなりません。

保管申請時には、遺言者本人の本人確認書類が必要ですが、手続き後には”遺言書保管証書”という書類が発行されます。

この保管証書は、遺言の存在を証明する重要な書類となるため、大切に保管しましょう。

 

保管証書は、相続開始後の遺言書の閲覧・開封請求の際に必要となります。

なお、保管手数料は3,900円となっています。

遺言書は全国の法務局のデータベースで管理されているため、遺言者の住所地にある法務局以外でも保管申請が可能です。

ただし、一度保管された遺言書を取り出すことはできません。

内容を変更したい場合は、新しい遺言書を作成する必要があります。

遺言者死亡後の開封手続きと流れ

遺言者が亡くなった後、相続人は法務局に対して遺言書の開封を請求することができます。

この請求は、相続人に限らず遺言執行者や受遺者にも認められている権利です。

開封請求には、遺言者の死亡証明書と請求者の本人確認書類が必要となります。

また、請求者が相続人である場合は、その資格を証明する戸籍謄本も必要です。

法務局では、請求者の資格を確認した上で、開封の日時を指定します。

開封の際は、できるだけ多くの相続人が立ち会う方が良いでしょう。

 

開封後、法務局は遺言書の原本を請求者に交付します。

同時に、他の相続人にも遺言書の内容が通知されるため、全ての相続人が遺言の存在と内容を知ることができます。

最後に、開封された遺言書は、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。

遺族が準備すべき書類と相続手続き

遺言書の開封請求に際して、遺族は必要な書類を事前に準備する必要があります。

・遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本一式

・遺族自身の戸籍謄本や住民票

・遺言者の死亡診断書または死亡届の写し

・遺言書保管証書

これらの書類が揃ったら、法務局に開封請求を行うことができます。

 

開封後は、家庭裁判所での検認手続きに移行します。

検認手続きでは、遺言書の原本を提出する必要があるため、大切に保管してください。

また実際の相続の手続きは、金融機関や不動産登記などの各種機関で個別に行う必要があります。

その際、遺言書の記載内容に応じて、追加の書類が必要となる場合もあります。

秘密証書遺言に関するまとめ

秘密証書遺言は、内容の秘密性が保たれ、法務局での保管により安全性も確保される遺言方式です。

作成には全文自署などの厳格な要件がありますが、公証人による形式審査があるため、方式の無効リスクは低くなります。

ただし、作成には時間と手間、一定の費用が必要となります。

遺言者の死亡後は、法務局での開封手続きと家庭裁判所での検認が必要となるため、相続手続きを円滑に進めるためにも、必要書類の準備と専門家への相談を推奨するのです。

大切な財産を確実に引き継ぐための手段として、秘密証書遺言の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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