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亡くなった親の車、残すか手放すか|費用と判断の順番

亡くなった親の車、残すか手放すか|費用と判断の順番

お父さま、お母さまをお見送りされたあと、駐車場に停まったままのお車を前にして手が止まってしまう方は、少なくありません。まだ十分に乗れる状態だからこそ手放すのは忍びない、けれど税金や保険はどうなるのだろう、と気持ちと現実の両方が一度に押し寄せてきます。私ども大阪セレモニーでも、「車をどうすればいいですか」というご相談は、四十九日を過ぎたころによくいただきます。ここでは、残す場合と手放す場合それぞれで何を考えることになるのかを、順を追って整理してみます。ご家族で話し合うときの下敷きにしていただければ幸いです。

まず知ってほしいこと:車は今日中に決めなくていいもの

最初にお伝えしたいのは、お車の扱いは、その日のうちに決めなければならないものではないということです。自動車は相続の対象となる財産に含まれるのが一般的で、どなたが引き継ぐのかが決まらないうちは、売却も名義変更も進められないのが原則です。慌てて業者に連絡する必要はありませんし、むしろ相続人の間で話がまとまる前に動いてしまうと、あとの整理が難しくなることもあります。

とはいえ、いつまでも置いておけるわけでもありません。自動車税は毎年のことですし、任意保険は契約者が亡くなられた時点で扱いが変わる場合があります。駐車場代も止まりません。ですので、目安としては相続の話し合いが落ち着く数か月のうちに、と考えておかれるとよいかと思います。お車のことも含めた全体の流れは、葬儀後の手続きのページにまとめておりますので、あわせてご覧ください。

判断が止まるのは、お金の話と気持ちの話が混ざるから

ご相談の場で「まだ決められていません」とおっしゃるご家族は、とても多くいらっしゃいます。手続きが難しいから決まらない、というより、お金の話と気持ちの話が同時に頭に浮かぶから決まらない、という方がほとんどです。

維持費を考えれば手放したほうがいいと分かっている。けれど、その車は親御さまが毎週病院へ通うのに使っていた車であり、お孫さんを乗せて出かけた車でもある。助手席に置かれたままの老眼鏡や、ダッシュボードの中の高速道路の領収書を見てしまうと、費用という物差しでは測れなくなります。これはご家族が優柔不断なのではなく、性質のちがう二つの話が一つのテーブルに乗っているために起きることです。

ご兄弟姉妹で意見が割れるときも、たいていは同じ構造です。維持費を心配している方と、思い出を惜しんでいる方が、それぞれ別の物差しで話しているため、話し合っても噛み合いません。どちらが正しいという話ではないのです。

そこでおすすめしているのが、「いくらかかるのか」を先に数字で確かめてから、「それでも残したいか」を考えるという順番です。金額が分からないまま気持ちの話をすると、不安が数字を大きく見せますし、思い出の重さのほうも扱いきれなくなります。まずは事実の確認から始めてください。

決める前に確認しておきたい3つのこと

結論を出す前に次の3つを確かめておくと、そのあとの話し合いがずいぶん楽になります。

  • 相続人全員の意向がそろっているか:車も預貯金や不動産と並ぶ財産のひとつです。「誰も乗らないから」と一人の判断で手放すと、後から「あの車は自分が引き継ぐつもりだった」という話が出て、こじれてしまうことがあります。金額の大小ではなく、思い入れの問題であることが少なくありません。
  • 任意保険がどうなっているか:契約者が亡くなった場合、そのままでは補償の扱いが変わる可能性があります。運転者の範囲が限定されている契約であれば、ご家族が動かした際に対象外となることも考えられます。動かす予定があるなら、まず保険会社へご連絡のうえ、名義や条件の変更が必要かをご確認ください。
  • 鍵と関連書類がそろっているか:車検証、自賠責保険の証明書、任意保険の証券、スペアキー、駐車場の契約書。これらは名義変更でも売却でも必要になります。あわせて車検の満期日と自動車税の納付状況も見ておくと、判断の材料になります。

この3つが確認できていれば、残すにしても手放すにしても見通しが立ちます。逆にどれか一つでも宙に浮いたままだと、途中で止まってしまいます。

残すと決めた場合、何にお金がかかり続けるのか

車を保有し続けるかぎり、乗る乗らないにかかわらず発生する費用があります。おもな内訳は次のとおりです。金額は車種や地域、契約内容によって大きく変わりますので、ここでは項目の整理としてご覧ください。

  • 自動車税(種別割):毎年、その時点の所有者に課されます。排気量などによって額が決まり、普通乗用車と軽自動車でも差があります。年式によって扱いが変わる仕組みもありますので、実際の額は納税通知書や自治体の窓口でご確認ください。
  • 任意保険:ここは金額よりも手続きの面で注意が必要な項目です。亡くなった方の名義のまま当然に続くわけではなく、等級の引き継ぎにも条件があります。詳しくは亡くなった方の自動車保険の取り扱いについてをご覧ください。
  • 車検:数年ごとに巡ってきます。法定の費用に加えて、整備の内容によって金額が変わります。交換部品が出ればまとまった出費になることもありますので、年あたりに均して見積もっておくと現実的です。
  • 駐車場代:地域差がもっとも大きい項目です。ご実家の敷地内に停められるなら負担はありませんが、賃貸契約であれば毎月確実に出ていきます。

このほか、乗るのであればガソリン代やオイル交換などがかかりますし、あまり動かさない場合はバッテリーが上がる、タイヤが劣化するといった、乗らないことによる出費も生じます。「置いておくだけならお金はかからない」ということはありません。

実際に書き出してみると、駐車場を借りて普通乗用車を維持されているご家庭では、年間の合計が思っていたより大きくなることが多いです。逆に、ご自宅の敷地に停められる軽自動車であれば、負担はかなり抑えられます。ご自身のケースがどちらに近いのか、手元の通知書や請求書を並べて計算してみてください。

そのうえで「この金額を払ってでも残したい」と思われるなら、それは十分な理由になります。私どもは、費用がかかるから手放すべきだと申し上げるつもりはありません。納得して払う費用と、決められないまま払い続ける費用は、同じ金額でもまったく意味がちがうということをお伝えしたいのです。

手放すと決めた場合、何が出ていって何が戻るのか

「手放す」と一口に言っても、実際には売却・下取り・廃車の三つの道があります。かかるお金も戻るお金も、この選び方で変わってきます。

まだ十分に走れる車で査定額がつくなら、売却が第一候補です。買取業者に持ち込む方法と、次の車を買うお店に下取りに出す方法があり、下取りは手続きをまとめて任せられる代わりに、金額そのものは買取より控えめになることが多いようです。一方、年式が古い、走行距離が伸びている、長く動かしていなくてバッテリーが上がっている——そうした車は値段がつかず、廃車の手続きに進むことになります。

出ていくお金としては、廃車の際の解体費用やレッカー代(引取無料としている業者もあります)、手続きを専門家や業者に代行してもらう場合の報酬、名義を変えるために必要な戸籍謄本などの取得費用といったものが考えられます。

逆に、自動車税や自賠責保険、自動車重量税については、手続きの内容によって残りの期間分が戻る場合があります。ただし、戻るかどうか、いくら戻るかは車種や手続きの進め方によって変わります。売却や下取りでは、還付という形ではなく業者との精算に織り込まれることもあります。「必ず戻る」と考えず、条件次第で戻ることもある、くらいに構えておかれるのが安全です。実際の取り扱いは、運輸支局や保険会社、依頼される業者にご確認ください。

そして忘れてはいけないのが、亡くなった方の名義のままでは、売ることも廃車にすることもできないということです。まず相続人へ名義を移す手続きが要ります。必要書類や進め方は亡くなった方の車の名義変更・廃車の具体的な手続きにまとめていますので、そちらをご覧ください。

相続の話がまとまる前に動かすと、あとで戻せなくなる

ここが一番お伝えしたいところです。車の売却や廃車といった手続きは、相続財産を処分したと受け取られる場合があります。そして相続放棄を考えている方にとって、これは取り返しのつかない一手になりかねません。

借金があるかもしれない、まだ全体像が見えていない。そうした段階で車を売ってしまうと、放棄が認められなくなる可能性が出てきます。どこからが処分にあたるのかは事情によって判断が分かれるところで、私どものような葬儀社が「これなら大丈夫です」と申し上げられる領域ではありません。売却や処分に動く前に、必ず司法書士や弁護士にご確認ください。期限やその間の支払いの扱いについては、相続放棄を考えているときの支払い・解約の注意点にまとめています。

もう一つ、見落とされやすいのがお金の流れです。故人の銀行口座は死亡の連絡が入った時点で凍結されます。自動車ローンや任意保険料、駐車場代がその口座からの引き落としだった場合、支払いが止まり、気づかないうちに延滞や契約の失効につながることがあります。

  • 車をどうするか決まるまでは、駐車場代や保険料の支払い方法だけ先に整理しておく
  • ローンが残っている場合は、車検証の所有者欄がローン会社になっていないか確認する
  • すぐに結論が出ないなら、無理に急がず「今は動かさない」という選択も残しておく

迷ったら「これから乗る人がいるか」だけで考える

費用や還付の話を調べ始めると、かえって決められなくなる方が多いです。金額の比較は「損をしたくない」という気持ちを刺激しますから、いつまでも答えが出ません。

そんなときは、いったんお金の話を脇に置いて、「この車に、これから乗る人がいるか」という一点だけで考えてみてください。ご遺族とお話ししていても、この問いに戻ると急に整理がつく場面をよく見ます。

  • 誰かが日常的に乗る予定がある——残す方向で、名義変更と保険の切り替えを進める
  • 年に数回乗るかどうか——維持にかかるものと使う頻度を並べて考える
  • 乗る人がいない——手放す方向で、まず査定に出してから売却か廃車かを決める

乗る人がいないのに置いたままにすると、税金や保険料、駐車場代は出ていき続けます。動かさない車は傷みますから、時間が経つほど査定額も下がっていきます。迷っている期間そのものに費用がかかっている——このことは、頭の片隅に置いておいていただきたいと思います。

それでも決められないときは「保留の仕方」を決める

ここまで考えても、どうしても答えが出ないことがあります。乗る予定はないけれど、親が最後まで運転していた車を、まだ手放す気持ちになれない。旭区の生江や高殿でご葬儀をお手伝いしたご家族からも、四十九日を過ぎたころに「車だけがまだ動かせません」というご相談をよくいただきます。

そういうときは、無理に結論を出さなくて構いません。ただし「決めない」ことを、なんとなく続けないでください。決めないなら、決めないなりのやり方を決める。これが一番もめませんし、後から後悔も残りません。具体的には、次の四つをご家族で共有しておきます。

  • いつまで保留にするかを日付で決める。「一周忌まで」「来年の車検まで」など、区切りのある日にすると迷いません
  • 保留中にかかるお金を出しておく。駐車場代、自動車税、任意保険、車検の残り期間。月いくらかが見えると、判断の物差しになります
  • 誰が管理するかを一人決める。月に一度はエンジンをかける、バッテリーを見る、といった役目です。全員でみると、結局誰もみません
  • 名義だけは先に片づける。乗る乗らないに関わらず、名義変更を済ませておいたほうが、売るときも廃車にするときも手間が減ります

たとえば新森周辺でご実家をしばらく空ける場合でも、「一周忌まで置いておく」「次の車検前にもう一度話し合う」といった期限を決めておけば、ご家族の気持ちを置き去りにせず進めやすくなります。期限を決めた保留は、気持ちの整理の時間にもなります。逆に期限のない保留は、費用だけが積み上がって、いつのまにか「話しにくいこと」に変わってしまいます。

まとめ|判断の順番はこの4ステップ

迷ったときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  • 1.相続の状況を確かめる/誰が引き継ぐのか、相続人は誰か。ここが決まらないと、売ることも譲ることもできません
  • 2.残した場合に何がかかるか出す/自動車税、任意保険、駐車場代、車検、整備。一年分を紙に書き出します
  • 3.実際に乗る人がいるか確認する/「いつか使うかも」ではなく、今の生活で月に何回乗るか。ここで多くの答えが見えてきます
  • 4.期限を決めて結論を出す/その場で決まらないなら、日付を決めて保留にする。決めないまま流さないことが大切です

車は、ただの持ち物ではありません。親御さんが買い物に行き、通院に使い、お孫さんを乗せた場所でもあります。だからこそ判断が難しいのだと思います。手放すことは、思い出を捨てることではありません。写真を一枚撮っておく、鍵だけ手元に残す。それだけでも、ご家族の気持ちの置きどころは変わります。

また、車の手続きは単独で進めるより、ほかの手続きとまとめて考えたほうが早く終わります。順番や必要な書類については葬儀後の手続きの流れも参考にしてください。

大阪セレモニーでは、旭区を中心に地域のご家族をお手伝いしてきました。ご葬儀のあと、何から手をつければいいか分からないというご相談も日々いただいています。車のことでも、名義のことでも、どこに聞けばいいか分からないことこそ、まずお声がけください。分かる範囲でご案内し、専門の窓口が必要な場合はその見当もお伝えします。ご相談はこちらのご相談ページから承っています。

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