突然の危篤宣告に誰もが動揺し、何から手をつければよいのか戸惑うもの。
でもそのような時だからこそ、冷静な判断と適切な対応が必要となってきます。
医師からの説明をしっかりと理解し、家族間で協力して準備を進めていくことが大切です。この記事では、実際に危篤を経験された方々の声をもとに、家族が知っておくべき具体的な対応方法をご紹介します。
医療者との関わり方から、親族への連絡の仕方、そして家族自身のケアまで、すぐに実践できる情報をまとめました。
目次
危篤宣告とは – 医師からの説明を理解する
医師から「危篤」という言葉を告げられたとき、多くの家族が動揺を隠せないものです。
危篤状態とは”生命の危険が切迫していて、死期が近い”と判断される状態を指します。
医学的には、重要な臓器の機能が著しく低下し、治療への反応が乏しい状態のことを意味しますが、具体的には
・呼吸状態の悪化
・血圧の著しい低下
・意識レベルの低下
といった症状が見られるのです。
ただし、危篤宣告を受けてから実際の看取りまでの時間は、患者さんの状態によって大きく異なり、数時間の場合もあれば、数日から数週間続くケースもあるでしょう。
このため、医師からの説明をしっかりと理解し、現在の状態と今後予測される変化について、できるだけ詳しく確認することが大切になってきます。
特に
「どのような症状が出現する可能性があるのか」
「どのくらいの期間が想定されるのか」
といった点については必ず確認しておきましょう。
また医師から危篤宣告を受けた際は、できるだけメモを取ることをお勧めします。
動揺して話の細部を聞き逃してしまうことも多いため、可能であれば家族の誰かと一緒に説明を聞くことが望ましいでしょう。
後になって「あの時聞いておけば良かった」と後悔することのないよう疑問点は整理しておき、不安があれば先に質問するなどして解消すると良いですね。
特に治療方針や延命措置についての希望がある場合は、この段階で医師と十分に話し合っておくことが重要となってきます。
危篤宣告を受けた直後にすべき5つの対応
危篤宣告を受けた直後は、冷静な判断が難しい状況ではありますが、いくつかの重要な対応を順序立てて行う必要があります。
まず最優先すべきは、その時点での患者さんの状態と、今後予測される経過について、医師から詳しい説明を受けること。
医師との話し合いの中で、現在の治療内容や、今後の治療方針について確認していきましょう。
延命治療に関する患者さんの意思確認や、家族としての希望についても、この段階で医療チームと共有することが望ましいです。
次に重要なのは、病院の面会規則や付き添いの可否について確認することになります。
危篤時は通常の面会時間外でも柔軟な対応をしてくれる病院が多いものですが、具体的なルールの確認は必要です。
また病室での過ごし方や注意事項についても、看護師さんに確認することが大切です。
付き添いが可能な場合は家族間で交代の予定を組むなど、具体的な体制を整えていく必要があります。
さらに、医療費や入院費の支払い、各種手続きについても、病院の担当者に確認しておきましょう。
この時期は慌ただしくなりがちですが、事務的な手続きも重要な準備の一つなのです。
親族への連絡 – 誰にどのタイミングで伝えるべきか
危篤宣告を受けた場合、故人から近しい関係の親族から順に連絡をしていきます。
日中お仕事をしている方にも配慮し、「緊急のご連絡があります。お手すきの際にご返信ください。」などのメッセージを残すと良いでしょう。
危篤の連絡をする際は、現在の危篤者の状況だけでなく、今後の対応についても分かる範囲で伝えることが大切です。
あまり交流のない遠方の親戚に対しても、「危篤など知らなかった」と言われないように、後々の人間関係に影響がないよう積極的にコンタクトをとる姿勢をもつことが大切です。
危篤時の面会について – 病院での注意点と心構え
危篤時の面会は、通常の面会とは異なる特別な配慮が必要となってきます。
まずは面会前に患者さんの現在の状態について、看護師さんから情報を得ることが大切です。
患者さんの容態が想像と異なる場合もあるため、ある程度心の準備をしておくことが望ましいでしょう。
面会時は他の患者さんの安静を妨げないよう、できるだけ静かに過ごすことを心がけます。
たとえ危篤者の意識がない状態でも、患者さんは家族の存在を感じ取っている可能性があるのです。
そのため、優しく手を握ったり静かに声をかけたりすることは大切なコミュニケーションとなります。
面会人数や時間については、病院のルールに従いながら患者さんの状態に応じて柔軟に対応しましょう。
家族間で面会時間を調整し、できるだけ患者さんが一人にならないよう配慮することも大切です。
なお、感染予防の観点から、体調の悪い方の面会は控えていただく必要があります。
マスクの着用や手指消毒など、病院から指示される感染対策にはしっかりと従うようにしましょう。
看取りに向けた準備 – 家族でしておくべきこと
看取りへの準備は、家族全員で協力しながら進めていく必要があります。
まずは患者さんの希望や意思を、できる限り尊重する姿勢を家族間で共有しましょう。
生前に延命治療などについて話し合っていた場合は、その内容を医療チームにも伝えます。
看取りの場所について、病院での看取りを希望するのか、もしくは自宅での看取りを検討するのかという選択も、早い段階で話し合っておく必要があるでしょう。
特に自宅での看取りを選択する場合は、医療体制の整備や介護の準備など、様々な調整が必要となります。
衣類や必要な物品の準備も、この段階で整えておきましょう。
患者さんが大切にしていた思い出の品や、お気に入りの物を側に置いておくことで、心安らかな時間を過ごせる環境を整えることができます。
宗教的な配慮が必要な場合は、僧侶や神父との連絡調整も事前に行っておきましょう。
事務的な手続きと準備物 – 必要書類と持ち物リスト
事務的な手続きは、心の準備と並行して進めていく必要があります。
まずは入院時の保険証や各種医療証の確認を行いましょう。
高額療養費制度の利用を検討している場合は、加入している健康保険組合や市区町村の窓口に相談します。
また、介護保険を利用している場合は、ケアマネージャーへの連絡も忘れずに行ってください。
入院費の支払いについても、病院の会計窓口に支払い方法や期限を確認しておくことが望ましいでしょう。
必要な持ち物としては、
・着替え一式
・タオル類
・洗面用具
などの生活必需品を準備します。
また今後の急変に備えて、印鑑や保険証などの重要書類はすぐに持ち出せるよう、まとめて保管しておいた方が良いでしょう。
家族の連絡先リストや”かかりつけ医”の情報なども、すぐに確認できるようにしておきます。
危篤期間中の家族の心のケア – 体験者の声から
危篤期間中はご家族の心身の健康管理にも配慮しなければなりません。
特に主たる介護者となる家族は、こまめに休息を取ることを心がけましょう。
家族間で交代しながら付き添うなど、負担が特定の人に集中しないよう配慮することが大切です。
また、悲しみや不安を抱え込まず、家族や親しい人と気持ちを分かち合うことも望ましいですが、もし相談できる相手が少ない時は、病院のソーシャルワーカーや心理カウンセラーに相談することも検討してみましょう。
「もっと何かできたのではないか」という後悔の念を抱くことは自然なことですが、自分を責めすぎないようにしてください。
家族それぞれの悲しみの表現方法は異なるため、お互いの気持ちを理解し、尊重し合うことが一番大切です。
できる限り患者さんとの大切な時間を共有し、温かな思い出を作っていきましょう。
危篤に関するまとめ
危篤期間中は、患者さんと家族にとって大切な時間となります。
まずは医療者からの説明をしっかりと理解し、必要な情報を家族間で共有することが重要です。
面会や付き添いの際は、病院のルールに従いながら患者さんの安静を第一に考えましょう。
冷静になれない期間ではありますが、事務的な手続きや必要書類の準備も、計画的に進めていってください。
やはり大切なのは、家族全員の心身の健康管理です。
家族の皆さまで協力し合いながらこの困難な時期を乗り越えていきましょう。
この時期にしかできない大切な時間を、家族みんなで共有してほしいと思います。
それが後に大切な思い出として心に残ることでしょう。