大切な家族との最後のお別れをどのような形で迎えるべきか、多くの方が悩まれることでしょう。
葬儀は故人様との思い出を大切にしながら、ご遺族様の想いや状況に寄り添って執り行いたいものです。
しかし、葬儀費用と一言でいっても、宗派や地域、家柄、そして希望する内容によってその金額は大きく変わるのが現実。
初めて喪主を務める方にとって、どのような形態の式にすれば良いのか、また費用はいくらが適切なのかを判断するのは非常に難しいのではないでしょうか?
不透明な金額提示に不安を感じたり、後から追加費用を請求されたりといったトラブルを避けるためには、事前の知識が欠かせません。
この記事では、葬儀費用の平均相場とその詳細な内訳、さらには質を落とさずに費用を賢く抑えるためのコツについて、プロの視点から分かりやすく解説します。
葬儀のスタイル別の費用比較から、最近注目されている家族葬や直葬の特徴、さらには葬儀後の費用管理まで網羅的にまとめました。
この記事を読んでいただくことで、金銭的な不安を解消し、心にゆとりを持って故人様を送り出すための準備ができるようになるはずです。
目次
葬儀費用の平均相場を種類や地域ごとに詳しく解説
日本における葬儀費用は、葬儀の規模や参列者の人数、さらには地域性によって大きく変動します。
実は、葬儀の平均相場には法律や公的な機関が決めた明確な基準というものは存在しないのです。
そのため、葬儀社によっては見積書の内容が不明瞭であったり、故人様への敬意を理由に無理やり高額なプランを契約させようとしたりするケースも残念ながらゼロではありません。
一般的な葬儀であっても、式場の使用料や火葬代、棺や骨壺などの物品代に加え、お坊様へのお布施や飲食代、返礼品などの接待費用を合わせると、数十万円から数百万円という大きな金額になります。
だからこそ、あらかじめ具体的な数字を知っておくことは、家計を守るためだけでなく、納得のいくお見送りをするためにも必要不可欠と言えるでしょう。
ここでは、最新のデータに基づいた葬儀の相場について、具体的な数字を交えてお伝えしていきます。
葬儀の種類別に見た平均相場の違い
葬儀のスタイルは大きく分けて以下の3つが代表的であり、それぞれ相場が大きく異なります。
まずは、親戚や親しい友人だけで行う家族葬です。
家族葬の場合、参列者が少ないため飲食費や返礼品を抑えられ、相場はおおむね50万円から150万円程度に収まることが多いでしょう。
次に、お仕事関係や近所の方など広く参列者を招く一般葬です。
一般葬は式場の規模も大きくなり、おもてなしの費用も増えるため、150万円から、規模によっては300万円以上になることも珍しくありません。
そして、お通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う直葬(火葬式)。
直葬は最もシンプルな形式であり、相場は20万円から30万円前後と、非常に経済的な負担が軽いのが特徴です。
このように、どのスタイルを選ぶかによって予算は10倍近く変わることもあるため、まずは自分たちがどのような形を望むのかを明確にすることが大切ですね。
地域によってこれだけ違う!葬儀費用の実態
葬儀費用は、お住まいの地域によっても大きな格差があることをご存知でしょうか?
例えば、東京都内や大阪市内などの都市部では、斎場の使用料が高く、また土地の価格が反映されて祭壇や各種サービスの料金も上昇する傾向にあります。
これに対して、地方では公立の火葬場や斎場が安価に利用できる場合が多く、全体的な費用が低めに設定されることもあるでしょう。
鎌倉新書の調査によると、葬儀費用の全国平均は年々変化していますが、関東圏と九州圏を比較すると数十万円の差が生じることも珍しくありません。
参照:鎌倉新書「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」
URL https://www.kamakura-shinsho.co.jp/report/2022/funeral-5th/
地域に根差した独特の風習や、お供え物の種類の違いも費用に影響を与えるため、地元の葬儀社に相談してその地域の「普通」を確認することも一つの手ですね。
なぜ葬儀費用にはこれほど大きな幅があるのか?
葬儀費用がピンからキリまである最大の理由は、葬儀というサービスが「オーダーメイド」に近い性質を持っているからです。
大規模な一般葬と小規模な直葬では、準備するお花の量も、スタッフの人数も、使用する備品の質も全く異なりますよね?
また、葬儀社ごとの価格設定や、オプションサービスの有無も大きな要因となります。
例えば、同じ棺であっても、安価な布張りのものから、高級な彫刻が施された木製のものまであり、その差だけで10万円以上の開きが出ることもあります。
見栄を張る必要はありませんが、自分たちがどこに価値を置くのかを冷静に判断することが、予算の幅をコントロールする鍵となるのではないでしょうか。
葬儀費用の詳細な内訳を初心者にも分かりやすく解説!
葬儀費用の内訳は非常に複雑で、慣れない方にとっては見積書をパッと見ただけでは理解しづらいものです。
しかし、内訳を正しく把握していれば、どこにいくら使っているのかが明確になり、無駄な支出を削る判断もできるようになります。
多くの場合、葬儀社はセット料金を提示しますが、その中身を一つひとつ紐解いていくことが大切。
ここでは、葬儀費用を構成する主要な要素を「基本費用」「飲食接待費用」「寺院費用」の3本柱に分けて解説しましょう。
それぞれの項目に何が含まれるのかを知り、賢い予算計画を立てるための参考にしてくださいね。
葬儀を執り行うための基本費用に含まれるもの
葬儀のベースとなる基本費用には、故人様を送り出すためにどうしても避けられない項目が含まれます。
主な内容としては以下の通りです。
・葬儀式場の利用料金(自社斎場や公営斎場など)
・棺や骨壺、装束の代金
・ご遺体の搬送費用(病院から自宅、自宅から斎場など)
・火葬料金(自治体によって異なります)
・ドライアイス代やご遺体の安置料金
特に、ドライアイスや安置料金は日数が延びるほど加算されるため、火葬場の空き状況によっては予想外の出費になることもあるので注意が必要です。
また、火葬料金は住民登録がある自治体なら数千円から数万円で済みますが、市外の方が利用する場合は高額になることもあるため、事前確認が欠かせませんね。
おもてなしに関する飲食接待費用と返礼品
参列者の方々をお迎えするために必要なのが、飲食接待費用と返礼品代です。
ここは参列者の人数によって金額が大きく変動する、いわゆる「変動費。」の部分。
・通夜振る舞いや精進落としなどの料理代
・会葬御礼品や香典返し(当日返し)
・受付の設営やスタッフの配膳人件費
一人あたりのお食事代が5,000円だとしても、参列者が50人いればそれだけで25万円になりますよね。
さらに返礼品が3,000円であれば、追加で15万円がかかる計算になります。
参列者の人数を予測し、余分な注文を避けることが、全体の費用をコントロールする上で非常に効果的なポイントとなるでしょう。
お坊様や宗教者へお渡しする寺院費用(お布施)
多くの葬儀で発生するのが、お坊様などの宗教者へお礼としてお渡しする寺院費用です。
これには以下の内容が含まれるのが一般的。
・読経料(通夜、告別式での経)
・戒名料(故人様に授ける名前のランクによる)
・御車代や御膳料
お布施は葬儀社への支払いではなく、直接宗教者へお渡しするものであるため、葬儀社の見積書には「別途料金」や「目安」として記載されることが多いです。
地域や宗派によって相場は大きく異なりますが、20万円から50万円程度が一つの目安。
もし、お布施の金額で悩んだ場合は、率直にお寺様へ「他の方々はどれくらい包まれていますか?」と相談してみるのも失礼にはあたりません。
オプションとして加わる特別な演出費用
基本のセットプラン以外に、ご家族の希望で追加されるのがオプション費用です。
・祭壇の生花を豪華にするための追加料金
・思い出のビデオやスライドショーの作成費用
・湯かんやエンゼルケア(ご遺体を美しく整える処置)
・プロの演奏家による音楽葬の演出
これらのオプションは必ずしも必要ではありませんが、故人様らしさを演出するためには有効な手段でもあります。
ただし、一つひとつを追加していくと気づけば数十万円の加算になっていた、ということもあるので、優先順位を決めて検討したいですね。
今さら聞けない家族葬の特徴と平均費用の実態
家族葬は、近年急速に普及している葬儀のスタイルですが、実は明確な定義があるわけではありません。
一般的には、身内や特に親しい友人だけを招いて行う小規模な葬儀を指します。
多くの方を招く必要がないため、喪主様やご遺族様が受付対応などに追われず、故人様との最後の時間をゆっくり過ごせるのが最大の魅力。
では、家族葬の費用面にはどのような特徴があるのでしょうか?
家族葬にかかる平均費用の目安
家族葬の費用相場は、全国的に見て80万円から120万円程度が最も多いボリュームゾーンです。
参列者が10人から30人程度であれば、式場も小さくて済みますし、お料理代も大幅に抑えられます。
ただし、家族葬だからといって「何でも安くなる。」わけではない点に注意が必要。
火葬代や霊柩車の費用、祭壇の基本料金などは人数に関係なく発生するため、一人あたりの単価で考えると一般葬より高くなることもあるからです。
また、参列者が少ない分、いただく香典の総額も減るため、実質的な持ち出し(負担額)が予想より多くなるケースもあることを覚えておきましょう。
家族葬を選ぶメリットと注意すべきデメリット
家族葬のメリットは、何と言っても「精神的なゆとり」を持てることです。
周囲への気遣いを最小限に抑え、家族水入らずで故人様を偲ぶことができるのは、今の時代に合った素晴らしい形だと言えるでしょう。
一方、デメリットとしては、葬儀に呼ばなかった方々から後日「なぜ知らせてくれなかったのか。」とお叱りを受けたり、自宅への弔問が続いて対応に追われたりすることがあります。
葬儀費用を抑えることはできますが、その後の人間関係やしきたりまでを考慮したプランニングが大切ですね。
家族葬を安く抑えるための具体的なコツ
家族葬をもっとリーズナブルにするためには、以下のポイントをチェックしてみてください。
・葬儀社の「自社斎場。」ではなく、安価な「公営斎場。」を利用する。
・祭壇の生花を季節の花に限定したり、造花を併用するプランを選ぶ。
・飲食の持ち込みが可能かを確認し、無駄な注文を控える。
・複数の葬儀社から事前見積もりを取り、内訳を比較する。
特に、事前相談を行っておくと「会員割引」などが適用され、数万円から十数万円安くなることもあるので、元気なうちに相談しておくのは賢い選択。
直葬(火葬式)が選ばれる理由とその費用相場を解説
直葬(ちょくそう)とは、お通夜や告別式といった儀式を一切行わず、病院などから直接火葬場へ搬送して荼毘に付す形式です。
これまでは経済的に困窮している方が選ぶもの、というイメージがありましたが、最近では「形式にとらわれたくない。」という理由で選ぶ方が増えています。
直葬の費用はなぜこれほど安いのか?
直葬の費用相場は、15万円から25万円程度と、他の葬儀スタイルと比較しても圧倒的に安価です。
理由は非常にシンプルで、式場の利用料がかからず、祭壇の装飾や司会者の人件費、参列者への飲食費がほぼゼロになるから。
最低限必要なのは、搬送用の車、棺、ドライアイス、火葬料金、そして骨壺くらいです。
シンプルでありながらも、故人様を静かに送り出すことができるため、非常に合理的な選択肢と言えるのではないでしょうか?
直葬を選ぶ際に必ず知っておくべき注意事項
直葬はメリットばかりではありません。
最も大きな注意点は、菩提寺(お付き合いのあるお寺)がある場合です。
宗教的な儀式を省略して火葬してしまうと、お寺様から「供養が足りない。」と判断され、納骨を断られるといったトラブルが発生することもあります。
直葬を選ぶなら、事前にお寺様へ相談し、火葬の際にお経をあげてもらうなどの調整が必要になるでしょう。
また、親族の中には「お葬式もしないなんてかわいそう。」と否定的な意見を持つ方もいるかもしれません。
ご遺族全員が納得しているかどうかを、事前にしっかりと話し合っておくことがスムーズな進行の秘訣。
実際の葬儀価格表を読み解く!悪徳業者に騙されないための知恵
いざ葬儀社から見積書や価格表を提示されたとき、どこをチェックすれば良いのでしょうか?
実は、表面上の合計金額だけを見ていると、後から追加料金の波に飲み込まれてしまう危険があります。
ここでは、プロの目から見た価格表の読み解き方と、注意すべきポイントを詳しくお伝えしましょう。
基本料金に含まれていない「変動費。」をチェックする
価格表に「葬儀セット20万円」と安く書かれていても、そこには火葬料や式場使用料が含まれていないことがよくあります。
また、ドライアイスや安置料金が1日分しか含まれていない場合、火葬場が混んでいて3日待つことになれば、2日分の追加料金が発生します。
「このセット料金以外に、状況によって発生する可能性がある費用はありますか?」と担当者に食い下がって質問することが大切ですね。
後から10万円単位の追加が出るのを防ぐためには、最悪のケースを想定した見積もりを作ってもらうのが賢明。
「故人様のために。」という言葉に惑わされない
葬儀の打ち合わせ中に、担当者が「最後のお別れですから、一番良い棺にしてあげましょう。」や「お花が少ないと寂しいですよ。」と勧めてくることがあります。
もちろん良意で言ってくれる場合もありますが、一部には単価を上げるための営業トークであることも否定できません。
お葬式の質は、お金をかけた量で決まるわけではありません。
無理をして予算をオーバーさせるよりも、自分たちが納得できる範囲で、心を込めて見送ることこそが故人様への何よりの供養。
「私たちの予算はこれくらいですので、この範囲で最善を尽くしてください。」とはっきり伝える勇気を持ってください。
複数の葬儀社を比較する「相見積もり。」の重要性
緊急の際でも、できれば2社から3社の葬儀社を比較することをおすすめします。
最近ではインターネットで簡単に見積もりを取り寄せることができますし、電話1本で概算を出してくれる会社も増えています。
同じ内容でも、会社によって数万円の差が出ることは当たり前。
あまりに安すぎる会社は、後からの追加請求が多い可能性もありますし、逆に高すぎる会社は不要なマナーサービスを付加している場合もあります。
担当者の話し方や誠実さを比較することで、信頼して任せられるパートナーを見極めることができるでしょう。
葬儀を終えた後の費用管理と精算のプロセス
葬儀が無事に終了した後も、ご遺族様には「費用の精算。」という現実的な仕事が待っています。
疲労が溜まっている時期ですが、お金のトラブルを避けるためには、一つひとつ丁寧に進めていく必要がありますね。
葬儀社への支払いタイミングと方法
多くの葬儀社では、葬儀終了後から1週間以内程度の支払いを求めてきます。
支払方法は現金、銀行振込のほか、最近ではクレジットカード払いやローンに対応している会社も。
多額の現金を動かすことになるため、領収書は必ず受け取り、見積書と相違がないかを細かく照らし合わせてください。
もし不明な項目があれば、その場ですぐに確認することが大切ですね。
香典の管理と香典返しの予算設定
葬儀中にいただいた香典は、誰からいくら頂いたのかを記帳簿と照らし合わせて正確に管理しましょう。
香典返しは、いただいた金額の「半返し(3分の1から半分程度)」が一般的な相場。
四十九日の忌明けに合わせて送るのが通例ですが、最近では葬儀当日に一律で返す”当日返し”を採用して、事務作業を簡略化するケースも増えています。
当日の場合は、高額な香典を頂いた方にだけ、後日不足分を追加で送るという形をとると失礼がありません。
葬祭費の給付金申請を忘れずに行う
葬儀費用を少しでも補填するために、自治体からの給付金制度を必ず活用しましょう。
国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合、葬儀を行った方に「葬祭費」として3万円から7万円程度が支給されます。
申請期限は葬儀から2年以内ですが、役所での手続きは他の届け出と合わせて早めに済ませておくのが安心。
こうした公的な制度を知っておくだけでも、実質的な費用負担を数万円軽減することができますよね?
葬儀費用の平均相場や注意点に関するまとめ
葬儀は誰しも人生で一度は経験する、極めて大切で神聖な儀式です。
その費用は20万円から300万円以上と幅が大きく、選ぶ形態やオプション、そしてご遺族様の意向によって大きく変動します。
大切なのは、無理をして高いプランを契約することではなく、故人様を敬う心と、残された家族のこれからの生活とのバランスを取ること。
葬儀に関する事前知識を持ち、価格表や見積書を冷静に読み解くことができれば、無駄な出費を抑えながらも、心のこもった素晴らしい式を実現できるはず。
この記事が、不安の中にいる皆様にとって、納得のいくお葬式を執り行うための確かな道しるべとなることを願っております。
どうぞ、一人で抱え込まずに、信頼できるプロのアドバイスを仰ぎながら、最善の形を見つけていってくださいね。
代表:山田泰平による葬儀コラム連載中!
https://mbp-japan.com/osaka/osakaceremony/column/