葬儀の場で故人様への哀悼の意を示す際、お花は欠かせない存在ですよね。
祭壇を美しく飾るお花もあれば、参列者が一人ずつ手向けるお花もあり、その役割は多岐にわたります。
しかし、供花(きょうか)と献花(けんか)という言葉を聞いて、その違いを正確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか?
大切な方との最後のお別れの場において、作法を間違えてしまうと、ご遺族様に対して失礼にあたったり、自分自身が恥ずかしい思いをしたりすることにもなりかねません。
葬儀は日常生活とは異なる独特のルールが存在するため、事前に正しい知識を備えておくことは、社会人としての極めて重要な身だしなみの一つと言えます。
この記事では、供花と献花の根本的な違いから、それぞれの意味や具体的な作法、さらには贈り方のマナーまで、プロの視点から5,000文字を超えるボリュームで詳しく解説していきます。
これを最後まで読んでいただければ、どのような形式の葬儀に参列しても慌てることなく、故人様とご遺族様に最大限の敬意を示すことができるようになるはずです。
実用性を重視し、日常のシーンをイメージしやすい具体例を交えながら進めていきましょう。
目次
供花と献花の根本的な違いとは?それぞれの役割を理解しよう
まずは、これら2つのお花が葬儀においてどのような役割を担っているのか、その定義から整理していきましょう。
結論から申し上げますと、供花は会場を装飾し、故人様を供養するために贈るものであり、献花はお焼香の代わりに参列者が直接手向けるお別れの儀式そのものを指します。
供花(きょうか)の意味と特徴
供花とは、お通夜や葬儀・告別式の会場に飾られるお花のこと。
主に親族や友人、勤務先の会社、あるいは地域の方々から贈られ、祭壇の脇や式場の入り口付近に配置されるのが一般的ですね。
これは故人様への感謝の気持ちを表すとともに、ご遺族様の深い悲しみを癒やし、会場を厳かに彩るという目的があります。
昔は、故人様がお亡くなりになった後に枕元に飾るお花(枕花)と混同されることもありましたが、現在は葬儀会場に届けるものを総称して供花と呼ぶことが増えました。
献花(けんか)の意味と特徴
一方で献花は、参列者が一輪のお花を手に持ち、祭壇の前で手向ける行為を指します。
これは仏教形式の葬儀におけるお焼香や、神道形式における玉串奉奠(たまぐしほうてん)と同じ役割を持つものです。
主にキリスト教式の葬儀や、無宗教形式のお別れの会などで広く行われます。
つまり、供花は「事前に手配して会場に飾ってもらうもの」であるのに対し、献花は「当日の儀式の中で、自分の手でお供えするもの」という大きな違いがあるのですね。
供花と献花の使い分けシーンをイメージする
例えば、あなたが勤務先の社長として、大切な取引先の役員の葬儀にお花を贈りたい場合は、供花を手配することになります。
一方で、あなたが友人としてキリスト教式の葬儀に参列し、祭壇の前でお花を一輪捧げる場合は、それは献花を行っているということ。
この2つは全く別物であることを理解しておけば、葬儀の案内状に「献花を行います。」とあっても、慌てることはありませんよね?
供花の具体的な作法と手配のマナーを深掘り解説
ここからは、会場に飾るお花である供花について、より具体的な手配方法や費用、注意点を見ていきましょう。
供花は「贈り主の名前」が札として掲げられるため、マナー違反をしてしまうと、あなた自身の社会的評価にも関わってきます。
供花の種類とそれぞれの用途
供花には、大きく分けて「スタンド花」「アレンジメントフラワー」「籠花」などの形式があります。
スタンド花
葬儀場で見かける、高さのある大きな飾りのことです。
祭壇の左右に並べられることが多く、非常に華やかで重厚感があります。
会社名や親族名が大きな札で表示されるため、一目で誰からの贈り物か分かります。
アレンジメントフラワー
カゴや器に美しく活けられた、持ち運びやすいサイズのお花。
自宅での家族葬や、限られたスペースの式場などで好まれます。
最近では、葬儀が終わった後にご遺族様が自宅に持ち帰って飾れるように、あえてコンパクトなものを選ぶケースも増えてきました。
供花の平均的な費用相場はどれくらい?
供花の費用は、お花の種類やアレンジの規模によって変動しますが、一般的な相場は以下の通りです。
1段のスタンド花であれば、15,000円から20,000円前後が最も選ばれる価格帯でしょう。
さらに豪華な2段のスタンド花になると、25,000円から30,000円程度になります。
籠花やアレンジメントの場合は、5,000円から15,000円程度と、比較的予算に合わせた調整がしやすいのが特徴。
無理をして高額なものを贈る必要はありませんが、あまりに安価なものを選ぶと、他の供花と並んだ時に見劣りしてしまう可能性もあるため、15,000円程度を目安にするのが無難ですね。
宗教によって選ぶべきお花が違う?
日本の葬儀にはさまざまな宗教形式がありますが、供花に使うお花の種類にも一定のルールが存在します。
仏教形式(仏式)
伝統的には白菊を中心とした、落ち着いた色合いのお花が使われます。
最近では、故人様が好きだったバラやトルコキキョウなど、洋花を取り入れた華やかなアレンジも増えてきました。
ただし、派手すぎる色は避け、白、黄色、紫、青などの寒色系をベースにするのが基本。
神道形式(神式)
仏教と同様に白菊がメインですが、基本的にはお花以外の装飾(榊など)が重視されることもあります。
お花を贈る場合は、仏式に準じた白一色のものが好まれる傾向にあります。
キリスト教形式
キリスト教式では、一般的に菊は使わず、洋花が主体となります。
ユリ、カーネーション、バラ、カサブランカなどがよく選ばれますね。
また、キリスト教式には「籠花」として会場へ直接届けるのが一般的。
供花を手配する際の手順とタイミング
供花を贈る際、最も間違いがないのは、その葬儀を担当している葬儀社へ直接注文することです。
葬儀社に依頼すれば、会場のスペースや祭壇のデザインに合わせた適切なお花を用意してくれます。
また、他の供花と統一感が出るように配慮してくれるため、配置で困ることもありません。
葬儀社への注文方法
まずは訃報連絡や案内状に記載されている「葬儀社名」と「電話番号」を確認しましょう。
電話をして「〇月〇日の〇〇様の葬儀に供花を贈りたい。」と伝えます。
予算と、札に記載する名前(贈り主の名前)を正確に伝えてください。
注文の締め切り時間に注意
供花は会場の設営に合わせて準備されるため、お通夜に間に合わせたいなら当日の午前中までには注文を済ませたいもの。
告別式から贈る場合でも、前日の夕方までには手配を完了させておきましょう。
あまりに直前だと、お花の仕入れや札の作成が間に合わず、断られてしまうこともあるから。
献花の正しい作法と当日の流れを完全マスター
次に、参列者として自らお花を捧げる「献花」について解説します。
献花は、キリスト教式や無宗教式において、お焼香の代わりに行われる極めて神聖な儀式。
不慣れな方が多いため、一連の動作を覚えておくだけで、当日は落ち着いてお別れに集中できるようになります。
献花に使われるお花の種類
献花用のお花は、基本的に葬儀社側が用意してくれます。
参列者が自前で一輪のお花を持参する必要はありません。
白のカーネーションや白のバラなど、茎が長くて持ちやすいお花が使われるのが一般的ですね。
献花の具体的なステップと所作
自分の順番が来たら、以下の手順で進めていきましょう。
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係員からお花を受け取る
この際、右手で花の方を軽く支え、左手を茎の下に添えるようにして両手で受け取ります。
花が右側に、茎の根元が左側に来るように持つのが基本の形。 -
祭壇の前まで進む
ご遺影に向かって一礼します。 -
お花の向きを回転させる
茎の根元が祭壇(ご遺影)の方を向くように、時計回りに90度回転させます。
つまり、お花が自分の方を向き、根元が故人様の方を向く状態にするのですね。 -
献花台にお供えする
そのまま静かに台の上へ置きます。 -
黙祷、または合掌
カトリックの場合は十字を切ることもありますが、一般の参列者であれば、静かに頭を下げて黙祷を捧げる、あるいは合掌して深く一礼すれば十分です。 -
遺族へ一礼して戻る
最後に、ご遺族様や神父・牧師(司会者)に対して一礼をして、自席に戻ります。
献花で失敗しないための注意点
献花台にお花を置く際、隣のお花と重ならないように、あるいはバラバラにならないように配慮しましょう。
また、あまり長く祭壇の前で立ち止まってしまうと、後の方を待たせてしまうことになります。
心を込めることは大切ですが、全体の進行に合わせてスムーズに行動することも、参列者としての重要なマナー。
供花と献花における「やってはいけない」NGマナー集
どちらのお花に関しても、良かれと思って行ったことがマナー違反になるケースがあります。
以下の点には特に注意してくださいね。
勝手にお花を送りつけるのは避ける
最近では「供花・供物の儀、固くご辞退申し上げます。」という案内が出ることも増えています。
これは、ご遺族様が返礼品(お返し)の手配や会場スペースの都合を考え、負担を減らしたいという意図があるから。
ご辞退の案内がある場合は、その意思を尊重し、無理に贈ることは控えましょう。
どうしても弔意を伝えたい場合は、後日お線香やお花を自宅へお送りするなどの方法を検討すべき。
派手な色や強い香りの花を選ばない
供花を自分でお花屋さんに注文する場合、あまりに原色に近い真っ赤なお花や、香りが強すぎて会場全体に漂うようなお花は避けるべき。
特にユリの仲間のカサブランカなどは、香りが強いため、大量に使うと閉ざされた式場では体調を崩す方が現れるかもしれません。
清潔感と上品さを兼ね備えた、白や淡い紫などの色調を選ぶのが大人の選択。
札の名前(贈り主名)の間違いに細心の注意を
供花に立てる札の名前は、最も間違いが許されない部分。
自分の名前であればまだしも、会社名や役職名に誤字脱字があると、非常に失礼な印象を与えます。
特に旧字体を使っている漢字や、役職の正式名称などは、注文時にFAXやメールで正確に伝える工夫をしましょう。
「株式会社」を「(株)」と略しても良いかどうかなども、葬儀社のアドバイスに従うのが安心。
葬儀費用とお花の関係!経済的な側面も知っておこう
葬儀の費用は高額になる傾向がありますが、お花の費用も意外にかかるかもしれません。
経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、葬儀1件あたりの売上高は長期的に見れば減少傾向にありますが、依然として大きな金額が動いています。
参照:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
URL https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokuservice/index.html
供花代は誰が負担するのか?
基本的には、贈り主(注文した人)が全額負担します。
もし親戚一同や会社一同で贈る場合は、代表者が集金して支払う形になりますね。
最近では葬儀社が当日の受付で供花代の集金を代行してくれることもありますが、基本的には後日振込やカード決済で支払うことが多いでしょう。
供花代を経費で落とす場合の注意点
会社名義で供花を贈る場合、多くは「交際費」として経費計上が可能です。
領収書が必要な場合は、注文時に必ず葬儀社に伝えておきましょう。
宛名が正確に記載された領収書を受け取ることで、税務上のトラブルも防げますよね?
供花と献花の使い分けが分かれば葬儀は怖くない
ここまで、供花と献花の細かな違いと作法について解説してきました。
どちらも故人様を慈しみ、安らかな眠りを祈るための美しい行為。
お花を通じて気持ちを伝えることは、言葉では表現しきれない哀悼の意を届けることに繋がります。
日常生活の中でお花に触れる機会は多いですが、葬儀という特別な場においては、その場にふさわしいマナーが求められる。
慣れない場でも、基本さえ押さえておけば、あなたは自信を持って大切な方との最後のお別れに臨めるはず。
もし迷ったら葬儀社のスタッフに尋ねてみよう
葬儀の現場では、常に葬儀社のスタッフが待機しています。
「献花のやり方を教えてください。」「供花はどこに注文すればいいですか?」といった質問は、決して恥ずかしいことではありません。
プロである彼らは、あなたがスムーズにお別れができるように全力でサポートしてくれます。
一人で悩まずに、素直にアドバイスを仰ぐことが、結果として最も丁寧な供養に繋がる。
故人様も、あなたが心を込めてお花を捧げてくれることを、きっと何よりも喜んでくれることでしょう。
供花と献花の違い、マナーや注意点についてのまとめ
供花と献花は、いずれも故人様への気持ちを伝える大切な行為。
供花は故人様に近しい参列者が事前に手配し、葬儀に合わせて贈るもの。
献花は葬儀の最中に、司会の進行に従って参列者が一輪ずつ故人様にお供えするものです。
初めて葬儀に参列する場合は、供花の送り方や献花のやり方も分からず戸惑ってしまうでしょう。
しかし、マナーやルール、慣習を事前にしっかり学び、故人様やご遺族様に対して敬意と感謝をもって接すれば、決して難しいものではありません。
今一度、故人様との記憶を思い起こしながら、心を込めてお花をお送りくださいね。
代表:山田泰平による葬儀コラム連載中!
https://mbp-japan.com/osaka/osakaceremony/column/