「ありがとう」を直接伝えられる生前葬が、いま注目を集めています。
従来の葬儀とは異なり、本人が元気なうちに感謝の気持ちを伝えられる、新しい形のセレモニーです。
でも、いざ検討するとなると「費用はどのくらいかかるの?」「準備は何から始めればいいの?」と、疑問に思いますよね?
本記事では、生前葬の基礎知識から具体的な準備の進め方まで、実際の体験者の声を交えながら詳しく解説していきます。
目次
生前葬とは?基本的な意味と特徴を解説
生前葬は、その名の通り、存命中に行う葬儀を指します。
一般的な葬儀とは異なり、故人となる本人が参列者と共に時間を過ごせることが特徴です。
親族や友人、同僚など、大切な人々に感謝の気持ちを直接伝えられることが最大のメリット。
一般的には、お寺や葬儀場、ホテルなどで60分から120分程度の式を執り行うことが多いですが、一般の葬儀のように厳かに執り行うスタイルからパーティー形式まで、故人の希望に応じて自由に選択できます。
宗教色を出さずに行うことも可能であり、近年では人生の締めくくりのセレモニーとして注目を集めているようです。
生前葬では、遺影として使用する写真を本人が選ぶことができるため、故人の意向を完全に反映できる利点があります。
また、参列者との思い出話に花を咲かせたり、人生の節目として新たな出会いの場となったりすることも珍しくありません。
最近では、介護施設に入所する前や、大きな手術を控えた際のタイミングで開催されるケースも増えてきました。
生前葬は、本人の人生を祝福する「お祝い」の要素と、別れを惜しむ「お別れ会」の要素を併せ持つ、新しい形のセレモニーといえるでしょう。
生前葬のメリット・デメリット
生前葬の最大のメリットは、本人が元気なうちに周囲の人々への感謝の気持ちを直接伝えられること。
親族や友人との大切な思い出を共有し、心からの「ありがとう」を伝える機会となります。
経済的な面では、後の本葬との費用の二重負担を避けるため、生前葬を本葬の代わりとすることで、家族の負担を軽減できるというメリットがあります。
また、本人の意思を反映した式の内容や、参列者の選定ができることも、大きな利点といえますね。
一方で、デメリットとしては、タイミングの決定が難しいという点が挙げられます。
体調の良いときを見計らって開催する必要があるため、慎重な判断が求められるでしょう。
また、参列者にとっては、まだ存命中の方のお別れ会に参加することへの心理的な抵抗感があるかもしれません。
そのため、招待状には生前葬の趣旨をしっかりと説明し、参列者の理解を得ることが重要なのです。
費用面では、本葬と同等の費用がかかることもあり、経済的な準備が必要となってまいります。
しかし、これらのデメリットは、事前の十分な準備と説明により、多くの場合解決できる問題でしょう。
生前葬の費用相場と内訳
生前葬の費用は、規模や形式によって大きく異なりますが、一般的な相場はトータルで50万円から150万円程度となっています。
会場費は、利用する施設によって異なりますが、通常20万円から50万円程度を見込む必要があるでしょう。
料理・飲み物代は、一人あたり5,000円から15,000円程度が一般的。
参列者の人数によって総額が変動するため、予算に応じて調整することが可能ですね。
司会者への謝礼は、専門の司会者に依頼する場合、3万円から5万円程度が相場となっています。
また装花や祭壇の装飾費用は、10万円から30万円程度を想定しておくとよいでしょう。
記念品や写真・映像の撮影費用は、品質や数量にもよりますが、15万円から30万円で収まります。
これらの費用は、事前に葬儀社と相談しながら、必要なものと省略できるものを見極めることで、適切な予算管理が可能となります。
なお、生前葬に関する費用は、一般的な葬儀費用と同様に、香典での補填を期待することは難しいとされています。
そのため、事前に十分な資金計画を立てておくことが重要となるでしょう。
生前葬の準備の進め方
生前葬の準備は、通常3ヶ月から6ヶ月前から始めることをお勧めします。
まずは、家族間で生前葬についてしっかりと話し合い、全員の理解と協力を得ることが重要です。
開催時期は、本人の体調や季節の良い時期を考慮して決定しましょう。
会場選びでは、参列者の交通アクセスや駐車場の有無なども重要なポイントとなります。
準備が整ったら、参列予定者には2ヶ月前までに案内状を送付することが望ましいですね。
案内状には、生前葬の趣旨や、当日のスケジュール、服装の指定なども明記しておくとよいでしょう。
会場との打ち合わせでは、装花や音響設備、料理のメニューなど、細かい点まで確認していく必要があります。
式次第は、本人の希望を中心に、参列者が楽しめる内容を組み込んでいくことをお勧めします。
特に、スピーチの時間配分や記念撮影の段取りなどは、事前にしっかりと決めておくことが大切です。
準備の過程では、家族や親しい方々の協力を得ながら、焦らず着実に進めていくことがポイントとなるでしょう。
生前葬当日の流れとプログラム例
生前葬当日は、通常2時間から3時間程度のプログラムを組むことが一般的です。
開始時刻の1時間前には、主催者側は会場に到着しておく必要があります。
受付の準備や、装花の最終確認、音響機器のチェックなどを行いましょう。
プログラムの基本的な流れは、開会の辞から始まり、主催者挨拶、来賓挨拶、歓談、記念撮影という構成が標準的ですね。
例えば、下記のようなタイムスケジュールが効果的です。
13:00~:受付開始
13:30~:開会の辞
13:40~:主賓(本人)挨拶
14:00~:来賓祝辞
14:20~:歓談・会食
15:20~:記念撮影
15:30:閉会
特に重要なのは、主賓である本人のスピーチの時間配分です。
体調を考慮しながら、無理のない範囲で感謝の言葉を伝えられるよう配慮しましょう。
また、スライドショーやビデオレターの上映など、視聴覚的な演出を取り入れることで、より印象的な会となるでしょう。
参列者からのスピーチは、事前に依頼しておくことで、スムーズな進行が可能となります。
生前葬で準備すべき持ち物リスト
主催者側が準備すべき持ち物は、大きく分けて書類関係と備品関係の2種類があります。
まずは書類関係として、
・参列者名簿
・座席表
・進行表
などが必要不可欠でしょう。
受付で使用する芳名帳やペン、領収書なども忘れずに用意しましょう。
写真やビデオの撮影許可書類も、必要に応じて準備しておくとよいですね。
備品関係では、式次第のプログラムや、記念品、お土産を人数分用意する必要があります。
本人の略歴や思い出の写真をまとめたアルバムがあると、参列者との話題作りに役立つでしょう。
記録用のカメラやビデオカメラ、予備のバッテリーなども必須アイテムとなります。
参列者への案内事項としては、服装や持ち物について、事前に明確な指示を出すことが重要です。
特に、カジュアルな服装で良いのか、それとも礼服が望ましいのかは、必ず伝えておきましょう。
香典の要否についても、明確に案内することで参列者の不安を解消できますよ。
生前葬の体験談と注意点
実際に生前葬を経験した方々からご意見を頂戴しました。
ある80代の方は、「孫たちの成長を見届けられて幸せだった」と、感動的な体験を語っていました。
一方で、「準備期間が短すぎて、声をかけられなかった知人がいた」という反省の声も聞かれます。
体調管理については、特に慎重な配慮が必要だったという意見が多いですね。
式の途中で休憩を取り入れたり、椅子を用意したりするなど、きめ細かな対応が求められます。
また、映像や写真の撮影は、後々の大切な記念となるため、専門家への依頼をお勧めする声も多いのです。
参列者との時間配分について、「もっとゆっくり話したかった」という感想も少なくありません。
このような体験談を参考に、余裕のあるプログラム構成を心がけることが大切でしょう。
特に、当日は予期せぬトラブルが起きる可能性も考慮して、柔軟な対応ができるよう準備しておくことをお勧めします。
何より、生前葬はあまり体調に優れない方が主役となりますから、御本人の体調と意向を最優先に考えましょう。
生前葬に関するまとめ
生前葬は、大切な人々への感謝を直接伝えられる、心温まるセレモニーです。
会場や参列人数によって変動しますが、おおよその費用は50万円から150万円程度で、
準備は3~6ヶ月前から始めることをお勧めしています。
やはり本人の体調が最優先ですから、十分配慮しながらゆとりを持ったプログラム作りを心がけましょう。
特に重要なのは、家族間での十分な話し合いと、参列者への丁寧な案内ですね。
生前葬は、感謝と祝福に満ちたかけがえのない時間となることでしょう。
ご家族で十分に検討し、思い出に残る素敵な会となることを願っています。